メンバーを起業に誘った時に、彼らは自分が
起業するなるなんて考えもしなかったそうだ。
それでも、声をかけた全員が、
「めっちゃオモシロそうやな!」と
嬉しいリアクションをくれた。
これまで同級生から「意識が高い」と揶揄される
ことはあっても、共に歩む仲間として「自分には
何が出来るか?」と考えてくれる人は少なかった。
だからこそ、仲間が集まって、本当に嬉しかった。
もちろん、仲間の人生の貴重な時間を借りる以上、
彼らの目指す人生や目標にも貢献したいと思った。
このチームに入ることで、どんな人生を歩めるか?
一人ひとりの目標や価値観を理解して、
丁寧に考えていく必要があった。
本質的にチームになるため、MOVEDOORが
大切にしてきた文化をここに書き記しておきたい。
組織は個人にとって、思想や目標を実現できる、
ベストな環境を目指す。僕がつくるのは個人が
消費されるのではなく、個人を尊重するチーム。
メンバー自身のやりたいこと挑戦したいことを
全力でサポートして、お互いの弱さを補い合う。
その結果、個人が自分の得意分野に集中できる。
Team for You(チームはあなたのために)
我々のVALUE(企業文化)の1つだ。
僕は共に働くメンバーに対して、「自分の目指す
価値観や目標と合わなくなってきたら、
いつでも会社を辞めていいんやで」と伝えている。
それは、メンバーのことを必要としないわけでは、
決して無い。ずっとここにいたい、そう思われる
チームを目指すという、自分自身への決意である。
僕はメンバーの人生と本気で向き合い、チームと
メンバーの目標の実現に注力する。個人と組織の
関係性は、常に対等&Win-Winでありたい。
「責任」には2つの種類があると思います。
「誰かから負わされる義務的な責任」と
「自分で楽しんで引き受ける責任」です。
前者の責任は、給料を受け取る代わりに
上司に指示命令されるとか、そういう類。
MOVEDOORでは、前者の責任だけでなく、
後者の責任も大切にしていきたいと思っている。
例えば、チームに問題点に気付いた時、周りの
目線を気にして言い出せないのはもったいない。
"自分の発言が誰かを傷つけるかもしれない"
それはとても怖いことだけど、気づきを自分の
中だけで終わらせるのも、ある種無責任に思う。
とはいえ、正論や批判は相手に響きにくい。
どれだけ伝え方を工夫しても、関係性や
信頼関係の構築が無ければ、
自分を否定された感覚になってしまう。
円滑なコミュニケーションの鍵は、日常生活の
「会話の総量」と「会話の質」の掛け合わせだ。
とにかくまず第一に、よく話すことだ。
会話の総量を増やすため、僕らは起業当初から、
・メンバー全員で食事を囲む
・2週間に1度の合宿を開催する
など「会話の総量」×「会話の質」を高め、
信頼関係の構築を、仕組みとして実装してきた。
2週に1度の合宿で、メンバーが大切にする
価値観を見出す価値観ワークショップを活用。
メンバーそれぞれの人生の目的や、
社内で成し遂げたい実績や、
獲得したいスキルを確認し合った。
よく知った間柄であっても、深く対話すれば、
そんなこと考えてたんだ!と驚く場面も多い。
大切なのは、メンバーが自分らしく、
ありのままでいられるチームであることだ。
役割や業務だけでなく、
お互いの人生や人柄、その全てに向き合う。
とはいえ、5人が同時に話せば、
必ず聞き手に回る人が出てくる。
さらに「会話の質」を高めていくためには、
「あなた」と「私」が話しているという関係性。
「1対1」で話せる時間をつくることも大切だ。
「いまの社会トレンドは」「自分はこう考える」
「どうやって投資家からお金を集める?」時に、
一人ひとりと。ときに5人で。互いを知るため、
僕たちは何度でも話し合った。
自ら課題や発見を見つければ、それを伝え、
受けとめる。そんな気付きを伝える責任を
持って、チームを少しずつ成長させてきた。
就職活動の時期に、僕は「どんな会社に入るか」
よりも「どんな生き方をするか」を考えていた。
「信頼できる仲間と、
目標を思いきり追いかける人生を歩みたい」
そのためなら安定してなくても、大変でもいい。
自分達で目標を決めて、追いかけていく。
そんな思いから、学生起業を選んだ。
事実、信用も実績も無い学生が、仕事やお金を
いただくことは、そう簡単なことではなかった。
それでも泥臭く営業を繰り返し、仕事を
いただけるようになった。少しずつ技術を磨き、
頼んでくれた方に喜ばれるチームになってきた。
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時は流れ、2021年春。
MOVEDOORは新たなフェーズを迎えている。
自社事業のスタートに、広報PR事業の推進。
次のステップに進む準備を進めている。
大きな試みとして、創業以来の求人募集を行う。
全国どこにいても働ける環境を整えている。
我々のVALUEのひとつである、
「Happines Creation ―楽しさをつくりだす―」
「悲観は気分、楽観は意志だ」と。
もちろんこれは、単なる現実逃避や楽観主義の
押し付けではない。厳しい現状に目を逸らさず、
それでも希望と解決策を見出そうという意味だ。
どんなときもタフに冷静にクレバーに楽観的で、
共に「楽しさ」をつくりだすチームでありたい。
それは計画された「旅行」ではない。
目標までの道のりを味わい、
目標が変わることを楽しむ。
きっと、先行きが見えない「旅」になるだろう。
創業メンバーと未来のメンバーの目標や人生を
より良く導く「方舟」として、僕はこれからも、
精一杯、このチームの舵を取っていくつもりだ。