取締役 / Designer
高橋 圭司
KEIJI TAKAHASHI
答えはひとつ
しかし解法は無限にある
彼は言う「死ぬこと以外は全て些細な事だ」と。その言葉通り、彼は動じない。きっと天変地異が起ころうと動じないだろう。一方で、デザインに対しては繊細だ。相手の考えを丁寧に汲み取り、作品に落とし込んでいく。
彼は高校時代、甲子園を目指して野球に打ち込んだ。投手だがエースではなかった。しかし最後の大会、エースの思わぬ負傷により初回から緊急登板することとなる。自らが投じるその球にチームの命運がかかる。その重圧に比べれば大抵の事は些細な事だ。彼の不動の精神力はここに起因するのかもしれない。
あるデザイン案件の納品間際、クライアントの要望が大きく変更された。その有り様はまさに”ちゃぶ台返し”。しかし、それに向き合い続けることがデザイナーの務め。声を荒げることなく、クライアントの想いに寄り添い、少しずつ形にしてゆく。そんな彼の真摯な態度と懐の深さは、人の心を掴んで離さない。
齢25して、彼の体に異変が起きる。腰と首に爆弾を抱えてしまったのだ。若くして整体通いが始まることとなる。毎日が液晶との”にらめっこ”であるデザイナーという人種にとって、それは至極当然のことなのかもしれない。だが、そんなことすらも些細な事なのだろう。新しいものを生み出す彼の目は、いつも輝いている。